そのまま
走りつづけていくと

やがて両端から木が生い茂りトンネルのようになった小路を通り抜けた。

もちろん始めて通る道だ。

少し暗い小路だったが怖い感じではなかった。

光が漏れてきていたからだろう。

どのくらい走ったのか栄太には時間感覚もなくなっていた。

その小路がしばらく続き

急に視界が開けた。

明るい野原に迷い出た。

明るくて一瞬、道を見失うほどだった。

暗いところを通ったせいで目がなれていないからかとも思ったが、それにしては異様に明るい場所だった。

「なにこれ?未知との遭遇じゃん!」

栄太は叫んだ。

目の前に現れたのは真っ白な巨大な円形の何物かだったが、栄太にはそれを言い表す言葉はひとつしか思いつかなかった。

「UFO!?」

見たことはなかったが、そうとしか言葉が見つからなかった。

そして立ち尽くしていた。体がどうにも動かないのである。

やがて円盤はドアらしきところが開いて、なかから光輝く二人の人物が現れた。

人間と変わらなかったが日本人ではなかった。

男性と女性の姿をしていたが、人間と違うのは光っていること。

服も白く、ボディスーツのように体にぴたっとくる服だった。

どうにも体が動かない。恐怖で動かないのではなく金縛りのようになっているのである。意識ははっきりしていた。

言葉は出せるかと思い、出そうとしたが声に声帯がやはり動かない。

どうも筋肉が動かせない。ただ脳も目も耳も使えた。

完全に金縛り状態であった。






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