春の出来事(プロローグ)
僕は九里栄太。
みんなは当たり前だが「えいた」と呼ぶ。
小さい頃からずっとそう呼ばれているので本名なんだけど何かそれがニックネームのような軽さがありちょっと嫌だったりする。
これから僕の物語を始める。
高校生になったばかりのことの話。
もう十年近く経っているので記憶は曖昧になったところもあるが、
この話はフィクションではなく僕が体験した話なのだ。
眠い春の朝。
学校に行くために河原の土手を自転車で走っていた。
桜の木は満開の桜、土手のあちこちには菜の花が咲いていた。
菜の花の独特の香りが漂ってきた。
忘れていたが、これは菜の花の香りと知っている自分に
少し驚いた。
好きな香りだ。
脳のどこかが記憶しているのだなと妙に理系的なことを考えた。
少しいい気持ちになってペダルにも力が入り
体を前のめりにして自転車のスピードを上げていく。
景色は流れていき、やがて後ろの方では形はなくなり
桜色の風が流れていく。
この土手のある場所で降りるとすぐに高校が立っているのだが、
その日はなぜかどこまでも走っていたくなり
そのままペダルをこぎ続けた。
だいぶ時間が経ったのに不思議と疲れを感じなかった。
いや時間の感覚すら亡くしていた。
ペダルをこぐのもすごく軽く、抵抗を感じなかった。
明らかにハイ、ランニングハイの状態になっているようだった。
しばらくするとそれでもだんだんと不安になって来て
こぐのをやめようと思った。
僕は九里栄太。
みんなは当たり前だが「えいた」と呼ぶ。
小さい頃からずっとそう呼ばれているので本名なんだけど何かそれがニックネームのような軽さがありちょっと嫌だったりする。
これから僕の物語を始める。
高校生になったばかりのことの話。
もう十年近く経っているので記憶は曖昧になったところもあるが、
この話はフィクションではなく僕が体験した話なのだ。
眠い春の朝。
学校に行くために河原の土手を自転車で走っていた。
桜の木は満開の桜、土手のあちこちには菜の花が咲いていた。
菜の花の独特の香りが漂ってきた。
忘れていたが、これは菜の花の香りと知っている自分に
少し驚いた。
好きな香りだ。
脳のどこかが記憶しているのだなと妙に理系的なことを考えた。
少しいい気持ちになってペダルにも力が入り
体を前のめりにして自転車のスピードを上げていく。
景色は流れていき、やがて後ろの方では形はなくなり
桜色の風が流れていく。
この土手のある場所で降りるとすぐに高校が立っているのだが、
その日はなぜかどこまでも走っていたくなり
そのままペダルをこぎ続けた。
だいぶ時間が経ったのに不思議と疲れを感じなかった。
いや時間の感覚すら亡くしていた。
ペダルをこぐのもすごく軽く、抵抗を感じなかった。
明らかにハイ、ランニングハイの状態になっているようだった。
しばらくするとそれでもだんだんと不安になって来て
こぐのをやめようと思った。
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